動脈圧の波形はFig.1に示すような部分から成り立っている。
大動脈弁の開放とともに急峻に立ち上がり、大動脈弁の閉鎖時にdicrotic notch(重複切痕)ができる。その後、緩やかに下降していく。波形をよく観察すると心臓の収縮期と拡張期がわかる。
この波形から収縮期圧と拡張期圧が測定でき、さらに、平均動脈圧が算出される。また、圧波形の立ち上がりから心収縮力や動脈のコンプライアンス、収縮期の面積などから、一回拍出量が推測できる(Fig.2)。


Fig1.一般的な動脈圧波形 Fig2.動脈圧波形からの心拍出量の評価
・一回拍出量の面積は、左室駆出率や一回拍出量と一致すると言われ、術直後乏尿期における血管内脱水で心拍出量が低下した場合には、一回拍出量の面積が極端に狭くなり、尖った形になる。また、Ddicrotic
notchの消失や遅延する場合は脱水などの循環血液量の減少が示唆される。これは、循環血液量低下により橈骨まで大動脈閉鎖の振動が伝わってこない事や、血液充満までの時間がかかり、大動脈弁の閉鎖時期が遅延する為である。
・Fig2.の傾きは体血管抵抗(SVR)と一致すると言われている。SVRは心拍出量(CO)と平均動脈圧(MAP)、右心房圧(RAP)から算出され、正常値は800〜1200dyne・sec/cm2となる。
・脈波形の呼吸性変動は脱水を示唆する。